情熱のオーディオ
第三章 STLシリーズ(45-45方式)による販売拡大
昭和33年4月ステレオ演奏機発売、セパレートスタイル第一号(STL-1S)
国産ステレオLP第一号発売が8月に行われた。
昭和34年4月皇太子ご成婚記念ステレオSTL-3(¥47,000)
中波×2を内蔵しNHK立体音楽堂対応形で空前のヒットとなりステレオブームの端緒となったのである。
ラインアップはSTL-2000,STL-1S,STL-5,
STL-3,
STL-32の5機種(¥250,000-¥32,500)となり日本ビクター業績拡大の第一歩に繋がった。
以後アンプ、プレヤー等の改良、新型デザインの投入等でラインアップを厚くし年ごとに販売の拡大を重ねていった。
昭和38年新機種STL-250,450,460,660Fが
投入された。このころ市場では新製品が各社から続々と発売され、そのたびに
デイーラーでは乱売になり、利益は減り旧型在庫が増えるなどの悪循環が慢性化していた。
こうした情勢下、当社では昭和39年7月「永遠のステレオ」と銘打ってコンソール形のモデルチェンジしない
STL―661シリーズを発表した。
これは、当時のオーデイオ業界のなかでは実に思い切った商品戦略で、その成り行きが注目されたが、発売と同時に人気が集中し、
その後、FMステレオなど技術面での改良が加えられるたびに売り上げを急増させた。
2年後の昭和41年1月にはついに販売台数30万台を突破した。
当時、単一機種でこれだけの台数を売った例は
アメリカにもなく、まさに世界記録であった。