曲目解説

以下の文章は、簡単な曲目解説に併せて、
サイト管理人の個人的な思い出を述べたものとなっています。

3台のヴィオラとチェロのためのオール・オブ・ミー

 ジェラルド・マークスとセイモア・シモンズが1931年に作曲したNY生まれのジャズ。
 誕生と同時に大ヒットとなり、ルイ・アームストロング他多くの名手に演奏された。
 その後唄を加えたり、様々なアンサンブルに編曲され現代に引き継がれてます。
 CDでこの曲を聴いて、音楽、編曲、そして演奏の素晴らしさに心を打たれました。
 そこで友人の作曲家小田博之氏に依頼して、私の演奏できるVaを中心に
 ヴィオラ3人とチェロのために編曲してもらったものがこの楽譜です。
 原曲のSwingする感じを出せるように演奏できればと思ってます。

Bass Barによるオール・オブ・ミーの演奏

 この曲を演奏するグループの名称BassBarとは弦楽器の表板の裏に縦方向に張られた
 棒の事で、弦楽器を裏から支えるのでこのような名前が付けられたと思われます。
 演奏グループであるBassBarは1980年代私の弟を含むチェリスト12人が集まり
 時にVocalやベースなど他の楽器を加えて幅広いジャンルの演奏活動を始めました。
 彼らが1991年CBS/SONYから Newyork LoveStory というタイトルで出したCD。
 その中の第8曲に宮下博次が5台のチェロとコンバス及びエレキギターに編曲した
 ALL OF ME が入ってます。そして曲の解説には
 私の心の一部を奪ったのなら、心のすべてを奪って欲しい・・・
 という歌詞こそ、ここには出てきませんが、セントラル・パークを歩くカップルの
 中にはそんな思いの人もいるのでしょう。

アザラシュビリのノクターン トリオ3種類

 ヴァーシャ・アザラシヴィリは、1936年生まれのジョージア(旧ソ連)の著名な作曲家。
 ノクターンの原曲は2台のVnと弦楽アンサンブルと思われますが、
 YouTubeでは様々な楽器編成で聴く事が出来ます
 私はEdmond Hovhannisyanと Ani Balyanによる2台バイオリンの演奏が気に入ってます。
 2022年春に、作曲家の小田さんからこの美しい曲の存在を知りました。
 そこで多く演奏されている2台Vnの編成に加え、ヴァイオリンとビオラとピアノ、及び
 ヴァイオリンとチェロとピアノの3種類のトリオの楽譜を作って頂きました。
 目下私の仲間たちと試奏して、あれこれ議論してる最中です。

3台のヴィオラとチェロのためのG線上のアリア(バッハ)

 バッハの組曲第3番の美しいアリアはG線上のアリアとしても大変有名です。
 ヴァイオリンのG線のみで演奏するためにこのような名称で呼ばれています。
 この楽譜はこのメロディーをヴィオラのG線一本で演奏します。
 そのために2つのヴィオラと支えを担うチェロで伴奏されます。
 この楽譜は私がここ数年取り組んでいる楽譜入力ソフト WinScoreJp により作成されました。
 まだ制作途上のソフトであるため問題が多々残されてますが、
 サイト構築に併せて紹介させて頂きます。

18のコラールより第9曲、弦楽四重奏編曲版(バッハ)

 バッハがワイマール時代に18曲からなるオルガンのためのコラールを作曲しました。
 これらの中で第9曲は特に美しく、数多くの楽器のために編曲が行われてます。
 YouTubeではブゾーニによるピアノ編曲版をホロヴィッツのロマンティックな演奏を聴くことが出来ます。
 N響によるオーケストラ版を聴いた作曲家の小田博之氏が、弦楽四重奏用に編曲されました。
 早速このサイトからダウンロード出来るように致しました。

ClとBassoonのための3つの2重奏曲(ベートーヴェン WoO.27)

 APAのヴィオラの会ではほとんどの方は自己の演奏技術向上の1年間の成果を披露する
 ということが中心のようです。一方私はアンサンブル楽器としてのViolaの魅力の紹介に
 重点を置いていろいろな楽器とのアンサンブルを楽しんできました。
 そのなかでヴィオラとファゴットのDUOという組み合わせは非常に少ないので、
 やむを得ず大作曲家の作品から編曲するという手を使うことがあります。
 ベートーヴェンが22歳ころに作曲したClとFgの2重奏曲を選び、ClをViolaに編曲しました。
 この曲はペータース版(7427)ではVnとVcのDUOとして原典の記載なしで出版されてます。
 MUSICA RARA ではClとBassoonのための3つのDUOとして出版されてます。
 ヴィオラの会では代々木の森オケのBassoon奏者にお願いして演奏しました。

ブラームスのホルン・トリオ(ViolinパートのViola版)

 ブラームスのホルントリオはホルン奏者にとって貴重な室内楽の名曲です。
 高校2年の時、学芸会で同期の友人(Vn)、次弟(Hr)と演奏した思い出の深い曲です。
 選曲は父に勧められたのですが、今考えても高校時代にこんな地味な曲をと思えます。
 この曲は通常ヴァイオリン、ホルン、ピアノで演奏されますが、
 ペータース版ではホルンパートをヴィオラで演奏する楽譜が添付されてます。
 一方この楽譜はヴァイオリンパートをヴィオラで弾くように編曲されてます。
 この結果ホルントリオはヴァイオリン、ヴィオラ、ピアノでの演奏に加えて、
 2本のヴィオラとピアノ、又はヴィオラ、ホルン、ピアノのトリオでも演奏可能です。
 ヴィオラの会でAPAのホルン奏者西田氏と演奏しました。

Va5重奏または4台のVaとVcによる森の静けさ(ドボルザーク)

 ドヴォルザークが1893年作曲した連弾曲「ボヘミアの森からOp68-5」が原曲ですが、
 作曲家自身がVcとPfのDUOに編曲し1892年渡米に向けた告別演奏会で演奏されました。
 更にその後作曲家自身によりVcとオケに編曲され森の静けさと命名されました。
 2015年3月31日紀尾井ホールにて東京チェロアンサンブルによる演奏会が開催され、
 この中でチェロ5重奏版に編曲された曲と演奏の美しさに圧倒されました。
 早速、これはVaの五重奏でやりたいと思い、Vc五重奏譜をVa五重奏に編曲を考えました。
 編曲を始めるとチェロは音域が広くViolaの音域に収めるために苦労しました。
 2016年にはAPAのヴィオラの会で仲間4人を加えソロパートを弾かせてもらいました。
 更にVaのみの場合全ての音が中音域に集中しますので、
 第5Vaをチェロに替えて演奏できるようにするためチェロパートを追加しました。
 なおこの楽譜はSimrock社から1997年出版されましたチェロ五重奏版の楽譜から
 ヴィオラで無理なく演奏できる音域に変更して作成したものである事を申し上げます。
 A.Dvorak, op.68/5 Bearbertung und Einrichtung: Lothar Niefind und Gunter Ribke.
 

ニムロッド エルガーのエニグマ変奏曲より第9変奏曲

1889年、エルガー(Sir Edward William Elgar、1857 - 1934)が42歳の時に管弦楽曲形式の
独創主題による変奏曲を作曲した。
出版に際してEnigma(謎)という副題が与えられ、
この曲により作曲家としての彼の評価が世界的なものとなった。
この曲は主題と14の変奏曲で構成されている。
夫々の演奏曲には作曲者の友人に関係する名付けられており、
これらの中でNimrodと名付けられた第9変奏曲がその美しさのゆえに単独で演奏されることが多い。
本譜はこのNimrodを作曲家小田博之氏により弦楽四重奏として編曲されたものである。
世界的な楽譜ダウンロードサイトであるIMLSPのEnigmaの編曲の頁に当然存在してると思っていたが、
存在して無かったので本サイトで掲載することにした。

ヴァイオリンとヴィオラまたはヴィオラとチェロのためのDUO(グリエール)

 APAのViolaの会では、殆どかたがヴィオラとピアノとのDUOの曲で出演してますが、
 私は常に何か別の楽器とのDUO、TRIO等で出演するように努めてきました。
 このDUOはVaの百武由紀先生からコンバスとのDUOとして紹介して頂きました。
 会にはコンバスとのDUOで出場しましたが、
 あとで調べてみたら、この曲の原曲がVnとVcを分かりました。
 VnとVcのDUOでは私の出番はないと考えVnとVaそしてVaとVcのための曲に編曲しました。
 2018年のAPAのViolaの会ではVnの名手SSさんとVnVaDUOを演奏しました。
 同じ曲を違う楽器編成(CbとのDUO)で2回出場した珍しいケースとなりました。

エンターテイナー(スコット.ジョプリン)

 このラグタイムの名曲はアマチュア演奏家協会の1992年の年次大会に向けて作られました。
 編曲者は当時新星交響楽団に在籍して居られた鈴木和生氏です。
 アンサンブルはコントラバスを含む弦楽5部合奏として構成されてます。
 ビッグバンドの響きを弦で狙って作られています。Allamarciaの所はラグタイム風から、
 スウィング風にかわります。急がずに4ビートを効かせて弾きます。
 APAでの演奏ではプロの指導者により演奏指導が行なわれました。

VnとVaのためのソナタ(ルクレール

APA(アマチュア演奏家協会)では楽器別のコンサートが行われてます。
その中にViolaの会があり、私は第1回(1998年)から20回まで欠席することなく参加してきました。
その間なるべくピアノ以外の楽器とのアンサンブルを選んでの演奏に努めてきました。
第2回に2本のViolaのDUOで参加しました。共演者は初参加のM.S.さんです。
その時の曲がルクレール(Jean-Marie Leclair, 1697 - 1764)の6つのViolaのためのソナタ
作品12から第4番の第1と第3楽章です。
楽譜はSCHOTTのVIOLA BIBLIO-THEKのタイトルで2巻に分けて初版出版され、第4,5,6番はその第2巻に含まれてます。
ルクレールはフランス・バロックの大作曲家ですが、VnとVaの名手でもあったことも知られており、
そのためか演奏としてはかなり難しい曲になります。
Violaの会ではそれらの曲の中から、美しく、比較的演奏し易い曲を選びました。
今回紹介する楽譜はこの曲をViolinとViolaの為のDUOとして、書き換えたものです。
編曲と楽譜制作は作曲家の小田さんにお願いしました。
校訂にあたりAPAのヴァイオリニストであるS.S.さんと検討し、多くのアドバイスを頂きました。

ピアノトリオ 第1番 チェロパートのヴィオラ移調版(メンデルスゾーン Op.49)

 時折ご指導を頂いてるヴィオラのF.F.先生から、コンサートでメンデルスゾーンのピアノトリオの
 チェロパートをヴィオラで弾いた事があると紹介頂き、第1楽章のみ手書き楽譜を頂きました。
 丁度私自身がこの曲のピアノパートをいろいろな方と楽しんでおりましたので、
 この一環としてチェロの代わりにヴィオラでもやってみようと考えました。
 楽譜のダウンロードサイトのIMLSPで調べましたが、ヴィオラ移調譜はありませんでした。
 まず天国的に美しい第2楽章のヴィオラ移調譜を私の作成したソフトWinWcoreで作成しました。
 この楽章はチェロの音域そのものをヴィオラで演奏できる、移調が不要な部分が多くあります。
 残る第1、3、4楽章は作曲家のH.O.氏に依頼しSibeliusを用いて作成されました。
 なお楽譜制作にあたって、ペータース版を参考にし、リハーサル記号等も合わせてます。
 また小節番号付きの版を使用しての合奏での便宜を図るため小節番号を付与しております。
 更にヴィオラとの演奏で違和感のない音を選択する為の修正を随時行う予定です。2023/7/12
 その後Va譜をプロのViolistのM.U.さんにアドバイス頂き、更にその後APAのVnの名手Y.H.さんと
 Vaの名手M.S.さんによる演奏でアドバイス頂き、修正したものをアップしております(2023/9/26)
 第3楽章176小節のフォルテシモの記号は誤りのため削除(2023/11/20)

FgとVcの為のソナタ(モーツアルト K.292)

 1988年、まだWindowsが出る前、当時購読していた日経バイト誌に
 スタンフォード大学の音楽学者スミス先生がパソコンで楽譜作成ソフトを作った
 という記事を見て興味を覚え、直ぐに米国から直輸入したソフトがSCOREです。
 当時いろいろあった楽譜作成ソフトの中でSCOREは群を抜く仕上がりでした。
 音楽雑誌での評価の為同じ楽譜で比較され、圧倒的な素晴らしさを評価されました。
 早速日本で当時あった音楽商社ナニワ楽器と組んでSCOREの販売、楽譜受託を始めました。
 スミス先生はSCOREのPRの為来日し講演した折、お供をして音大などでデモを致しました。
 このDUOはモーツアルトのFgとVcのためのソナタをVaとVcに書き直したものです。
 数年前APAのViolaの会でMY氏と組んで演奏しました。

ディベルティメント(モーツアルト K.439b)

 この曲は、モーツアルトが3本のバセットホルンの為に作曲した
 5つのディベルティメントを弦楽器用に編曲したものです。
 バセットホルンはホルンの仲間ではなく、クラリネットの仲間として
 1770年ころに登場しました。
 モーツアルトはやや低音域のこの楽器を大変気に入り、
 13管のセレナーデや「魔笛」「レクイエム」といった彼の代表作に使っています。
 演奏譜は19世紀初めに2本のクラリネットとファゴットの版で出版され、
 その後各種の編成や調の弦楽3重奏やウィーンソナチネという名称で
 ピアノ曲としても出版されました。
 本楽譜は原典に忠実に、そして弦楽器用に相応しいニ長調に移調しました。
 2本のヴァイオリンとヴィオラ、または2本のヴァイオリンとチェロの
 いずれでも演奏できるように4冊の楽譜として構成されています。
 尚、本楽譜の作成と校訂にはモーツアルト旧全集と新全集を参考にしました。
 私が高校時代、父がよくLPを聴いていた懐かしい曲の1つです(父に感謝)。

オペラ コジ・ファン・トゥッテの序曲(K.588)

 19世紀、ピアノの発展と共にオケ曲等を連弾にアレンジして楽しむ事が流行りました。
 私が仕事でロンドンに出張した時、Travis and Emery という楽譜販売店で、
 コジとWeberのEuryantheの入ってる分厚い中古連弾譜を22.5ポンドで買い求めました。
 装丁には MISS HOPE という刻印が入っており、意外と安かったことを思い出します。
 その当時の楽譜は紙自体が分厚く、装丁は購入者が趣向を凝らして作った美しい物でした。
 私は、学生時代以来音楽といえば室内楽だけに取り組んでいましたが、中年になって
 モーツアルトの宗教音楽に深い感銘を受け、当時出始めたヴィデオディスクで
 コジを初めて視聴しました。美しい音楽とポネルの演出に魅了された思い出があります。
 以後ストイックな室内楽と正反対な、エンタメの極地ともいえるオペラにはまりました。
 と言う事で何とかコジの連弾譜を復刻したいと考え、とりあえず序曲から製作しました。
 この楽譜は東京音楽書院という出版社に紹介して、定価千円で売り出されましたが、
 残念ながらこの出版社は倒産してまいましたので、ここで紹介する事にしました。

アヴェ・ヴェルム・コルプス(モーツアルト K.618)

 コロナ禍で音楽会がほとんど開かれないようになった2020年、オンラインで
 この曲をプロオケのヴィオラ奏者4人による演奏を聴く機会がありました。
 大変美しい演奏で、ヴィオラに適してると思い早速編曲に取り掛かりました。
 この曲は4声部の合唱を4声部の弦楽器による伴奏をつけて作曲されてます。
 編曲の方針としては合唱のある部分は合唱の声部を、
 前奏と後奏部分は弦楽器の声部を、Violaの音域に配置しました。
 またバスを担う第4ヴィオラは原曲通りの音域を使えるチェロの楽譜も用意しました。
 この楽譜は私がここ数年取り組んでいる楽譜入力ソフト WinScoreJp により作成されました。

シューベルトの鱒(弦楽器パートのピアノアレンジ版)

 室内楽で最も人気のある曲の一つと言われる「鱒」。
 APAでも人気曲で、当然私自身何回も常にViolaで取り組んできました。
 2020年にアンサンブル仲間から、ピアノを担当してやってみませんかと誘われました。
 恐る恐る練習を始め、どんな部分が難しいのかが分かってきました。
 やがてピアノ協奏曲での練習のように2台ピアノで出来ればいいと感じました。
 そこでオーケストラパートをピアノで演奏できるように、鱒の弦五部をピアノでと考え、
 友人の作曲家、小田さんにお願いしてアレンジと、楽譜として制作してもらいました。
 最初出来上がったものは弦五部を忠実に再現出来るように編曲されていたので、
 一人での演奏が不可能なような部分が沢山あり、要は雰囲気が出るように修正されました。
 何回もの打ち合わせで修正を重ね出来上がった楽譜をアップロードしました。
 ソロピアノ譜はペータースでの利用を考えてリハーサル記号を同一場所に加えてあります。

シューベルトの弦楽五重奏第1チェロのヴィオラへのアレンジ版)

 シューベルトの死の直前に作曲された、彼の最高の室内楽作品と評価が高い弦楽五重奏曲。
 この曲は通常のViola2本の代わりにCello2本を使用し、交響曲的な響きが追及されている。
 この第1Celloは高音部が多用されて、他のパートとDUOで華やかな旋律を弾く難所が多い。
 実は私の所属する弦楽四重奏団(RSQ)で日本の若手トップクラスのチェリストと演奏する事になり、
 この為に代弾きをお願いして練習する事にしました。
 そこでお願いする対象者を増やす為にこのパートをViolaで弾けないかという話が出て、
 検討した所、Celloが高音で弾く所が多いので殆どの部分をViolaの実音で弾ける可能性があると分かりました。
 その結果生まれた楽譜をこのサイトでアップロード出来るようにしました。
 なお楽譜の制作に当たってHenle版を参考にし、私が方針を定め、作曲家の小田博之しにお願いしました。
 2024/1/19, 校訂版アップロード, 2024/5/1改訂版